ベンガラ
ベンガラについて
ベンガラとは土からとれる酸化鉄を主な成分とする無機顔料です。
名前はインドのベンガル地方から良質な酸化鉄が産出されたことに由来します。
色は『暗い黄みの赤』とされていますが今日では生成時の燃焼温度や調合により黒色や黄茶色などもつくられております。

歴史
古くは約20000年前の旧石器時代のクロマニヨン人が描いたとされるフランスのラスコー壁画にも用いらております。

日本では縄文土器・弥生土器にも酸化鉄成分の赤色顔料の使用が見られており飛鳥時代の高松塚古墳の壁画や、仏教の伝来以降は寺院の建築材の顔料としても使用されてきました。
江戸中期には備中吹屋(岡山県)において銅山の副産物である硫化鉄を原料とした良質なベンガラの製造法が確立され、多量の製造が可能になったことと色の鮮やかさから陶磁器・漆器・建築塗料として全国に広がっていきました。
現代では製造の多くが乾式法から湿式法に代わり用途も医薬品、化粧品などにも広がっています。
ベンガラの特徴
天然鉱石や金属の化学反応により得られる酸化物などからつくられる無機顔料に属する『ベンガラ』には以下のような特徴があります。尚、有機顔料は石油などから合成した顔料となります。
・経年劣化しにくい
無機顔料であるベンガラは耐熱性、耐水性、耐光性、耐酸性、耐アルカリ性に優れています。
主成分である酸化鉄が科学的な反応が起こりにくく、性質が変化しにくいためです。
また防虫・防腐効果もあるので古くから建築塗料や船舶の防腐材としても利用されてきました。

・人体に無害で安全
無機顔料なので余計なものが含まれていません。
食品添加物としても使用されており、医薬品の着色料、化粧品にも使用されています。
また有機溶剤のような刺激臭がないので建築材の塗料としても身体にやさしいです。
自然に存在する成分であるため環境にも負荷をかけません。
・自然素材ならではのやさしい風合い
ビビットカラーのような鮮やかな色調はベンガラにはありません。
代わりに自然素材のやさしく奥深い色合いがあり、日本の風景や住居にとても似合います。