「立ち貼り」は障子戸を立てたまま貼り替える方法です【美濃判】

DIY障子紙専門店「障子のある暮らし」は、障子戸を立てたままで貼り替える「立ち貼り障子紙」をご紹介しています。
障子紙は昔から美濃判と呼ばれている、幅28cm×長さ94cmの障子紙です。障子戸を立てたまま28cm幅の桟(さん)に沿って一枚一枚貼っていきます。

全段貼り終えた障子

【 目 次 】
1.「立ち貼り」スタイルをオススメする理由
2.事前に準備すること
3.障子戸のデザインを決めましょう
4.用意する道具
5.障子紙の貼り替え方[美濃判サイズ・立ち貼り編]
 5-1.古い障子紙をはがしましょう
 5-2.のり付けして一段ずつ貼っていきます
 5-3.どっちがオモテ? 障子紙の表と裏
 5-4.余分な紙を切っていきます
 5-5.たるみがある場合は霧吹きをかけます
6.そもそも障子戸が鴨居から外れない場合は?

1.「立ち貼り」スタイルをオススメする理由

障子の貼り替えは、障子戸を外し、戸を寝かせて貼る、という方法が一般的です。しかし、大きな障子戸を寝かせるには広くて平らなスペースが必要で、その場所を確保するのが難しいという場合も少なくありません。
障子戸を一段ずつ横向きに貼っていく「立ち貼り」スタイルなら広いスペースは必要ありません。障子戸を立てかける壁があればOKです。他にも……
*立って貼るため、腰が痛くなりにくい。
*一段ごとに違う障子紙を貼ることができ、自分だけのオリジナル障子が演出できる。
*おひとりでも気軽に障子を貼り替えることができる。
*古くなり、鴨居から外れない障子戸も外さずそのまま貼ることができる。
などのメリットがあります。それではまず貼り替え前におこなう準備からみていきましょう。

2.事前に準備すること

「立ち貼り」スタイルでは、幅28cm×長さ94cmの障子紙を使うため、まずはご自宅の障子戸一段分のタテ幅を測ってください。

障子紙 美濃判サイズ
▲サイズの測り方。上の桟と下の桟の間を測ります。

というのも、現在では障子紙の規格は「美濃判」と呼ばれる一般的なサイズである幅28cmに統一され、障子戸もそれに合うサイズが多いのですが、それも近年に入ってからのこと。地域によって、またはご家庭によって一段分のタテ幅が異なる障子戸もあるようです。 ですので、障子紙の購入前に必ず上の写真のようにサイズを測りましょう。タテ幅28cmなら「美濃判」サイズでOKです。 また、全面が障子の障子戸以外に、腰板付きの障子戸などがあり、段数が異なりますので、その点も今一度確認をしてみましょう。

3.障子戸のデザインを決めましょう

ひとことで障子紙、といっても実際にはさまざまな種類があります。白い障子紙だけをみてもわずかな色の違いがありますし、白に白の模様が入って、光の加減でさまざまな見え方を楽しめる障子紙もあります。そのほかにも素材、風合い、色柄などを検討して、お部屋にぴったりな障子紙を選びましょう。
全面を1種類の障子紙で統一して貼る以外に、段ごとに異なる色柄を貼るデザインもおすすめです。
障子紙の種類とデザインが決まったら、必要な枚数を出します。いろんな種類の障子紙を組み合わせる場合、商品がお手元に届いたら、実物を並べて仕上がりイメージを確認しましょう。

4.用意する道具

障子の貼り替えは、(1)はがす(2)貼る(3)余分な紙を切るの3ステップが基本。貼り終えた後、紙がたるんでいたら、(4)霧吹きをかけて補正すればOKです。それでは必要な道具類を用意しましょう。

(1)はがす道具
雑巾/スポンジ/はがし剤 のどれか
(2)貼る道具
障子のりとハケ/ハケ不要のワンタッチのり のどちらか
(3)余分な紙を切る道具
カッターと定規/専用カッターと専用定規 のどちらか
(4)仕上げ用の道具
霧吹き(貼り終えた後に紙がたるんでいる場合にのみ使います。)

障子貼り道具


5.障子紙の貼り替え方[美濃判サイズ・立ち貼り編]

5-1.古い障子紙をはがしましょう

まず濡れた雑巾やスポンジを使って、古い障子紙を湿らせます。下の写真のように障子の桟に沿ってまんべんなく湿らせていきましょう。

古い障子をはがす
▲古い障子紙を桟に沿ってまんべんなく湿らせていきます。写真ではスポンジを使用しています。

3~5分後、水が浸透してきたら角の方からゆっくりと古い障子紙をはがしてください。専用のはがし剤を使うとより早くきれいにはがせます。
桟に残った古い障子紙やのりや汚れをきれいに拭き取った後、桟を充分に乾かしてください。 ここで汚れなどが残っていると、新しく貼った時にはがれやすくなってしまいます。取り残しがないかもう一度確認してみましょう。

5-2.のり付けして一段ずつ貼っていきます

障子戸を鴨居から外し、逆さまにして壁などに立てかけます。(障子戸は天地が逆になります。)
ハケとのり、またはワンタッチのりで、下の図のように、順番に貼っていきます。一段分のり付けして障子紙を貼り、また次の段をのり付けして障子紙を貼る……というように繰り返します。

六段目から貼っていくイラスト
▲障子戸の一番外側の枠には1cmくらいの幅でのりを付けます。紙じゃくりのある障子戸の場合、その凹みにのりを付けましょう。

この順番で貼っていくと、障子戸を元の向きに戻したとき、のりしろの重ね目が下を向くので、すき間に埃がたまりにくくなります。
のりはまんべんなくつけていきましょう。ハケの場合、下の写真のようにハケを寝かせ、毛先でのりをつけていきます。障子紙が桟に沿って平行になるよう、慎重に位置決めをして、のりが乾かないうちに手早く貼っていきます。もし貼る前にのりが乾いてしまったり足りなかったりしたら、ハケなどでのりを足してしっかりと貼り付けます。

障子にのりをつける
▲ハケの毛先を使って少しずつのりを付けていきます。

貼る時には、一枚分の美濃判障子紙を下の写真のように巻いて、少しずつ広げながら貼ってください。広げたまま貼ることもできますが、特におひとりで貼る場合は巻いてからの方が貼りやすいです。 この時、桟に貼り付ける面を外側に巻きます。右利きの方は向かって左側から、左利きの方は向かって右側から貼っていくことをおすすめします。

障子紙を巻く
▲障子紙を丸めておきます。

障子紙を貼る
▲モデルは右利きですので、向かって左から貼っていきます。左利きの場合は反対から貼ります。

六段目から四段目まで貼ったら、障子戸の上下を元に戻してください。今度は下写真のように三段目、二段目……と下から順番に貼っていきます。ここで上下を戻すことで、なるべく屈まずに貼れます。貼りやすい姿勢なら、紙がたわみにくいですし、何より腰など身体への負担が軽減されます。

障子戸の天地をもとに戻す
▲六段から四段目まで貼り終え、障子戸の天地を元に戻した状態です。このあと三段目、二段目……と今度は下から順番に貼っていきます。

5-3.どっちがオモテ? 障子紙の表と裏

障子紙は表面(ツルツル面)裏面(ザラザラ面)がありますが、無地の障子紙ならどちらの面を貼りつけてもよろしいかと思います。障子紙は光を通して見るので見た目では表裏は確認できません。
模様のある障子紙の場合は模様面を部屋の内側に向けるか、外側に向けるかをイメージしてから貼り始めましょう。模様面を部屋側にしたい場合は、障子紙の模様側を外側にして巻きます。

5-4.余分な紙を切ります

全段を貼り終えたら、余分な紙(のりしろの外側)を真っ直ぐにカットします。のりしろ部分に定規をあてて、それに沿ってカッターで丁寧に切っていきます。
紙じゃくりのある障子戸の場合には、そのフチでカットするときれいに仕上がります。

障子紙をカットする
▲定規をあててカッターで切っていきます。手を切らないよう注意してください。

通常のカッターを使う場合、のり付けした所が少し乾いていた方が切りやすいです。
ただし、のりが完全に乾いた後は、紙がはがしにくくなります。余分な紙が桟に貼り付いて残るようであれば、水を少し含ませてはがしてください。

5-5.たるみがある場合は霧吹きをかけます

全ての段を貼り終えた後、紙がたるんでいる場合は、桟につけたのりが完全に乾いてから、全体に薄く均等に霧吹きで水を吹きかけてください。
【ご注意】霧吹きで水を吹きかけるのは、必ず障子戸に貼った後、のりが完全に乾いてからです。障子戸に貼る前の紙には吹きかけないでください。

障子に霧吹き


6.そもそも障子戸が外れない場合

立ち貼りスタイルで障子紙を貼る場合、必ずしも障子戸を鴨居から外す必要はありません。基本的な貼り方は上記と同じですが、この場合は一番下から順番に一段ずつ貼っていきます。
下の段は屈んだ姿勢で少々貼りにくくなりますが、障子戸を動かす労力がかからないといったメリットもあります。


いかがでしたでしょうか。
障子の貼り替えは、暮らしを心地よく整えるDIYの一つです。組み合わせ次第で、さまざまな表情を作ることができます。今の気分に合ったデザインを選んで、より自由に「障子のある暮らし」をお楽しみください。